積み重ねたものは、力になる

カウンセリングをしていると、ときどきこんな言葉を耳にします。
「若い人は新しい知識も技術もどんどん身につけていて…」
「私には特別な能力がない気がする」
動物病院で長く働く獣医師さんや愛玩動物看護師さんからも、 そんな声を聞くことがあります。
確かに、新しい知識や技術を身につける力はとても大切です。
でも、それだけが「力」ではありません。
心理学には、「結晶化能力(結晶性知能)」 という考え方があります。
経験や学び、人との出会いを通して育まれる、知識や判断力、 そして人生の知恵のことです。
例えば、飼い主さんの表情から小さな不安を感じ取る力。
言葉にならない気持ちをくみ取る力。
スタッフの変化に気づく力。
慌ただしい状況でも落ち着いて、判断できる力。
こうした力は、一冊の本を読んだから身につくものでも、 一度の研修で得られるものでもありません。
日々の経験が少しずつ積み重なり、 自分の中で結晶のように育っていくものです。
だから、もし今、
「自分には特別な能力がない」
「この仕事、向いていないかも」
そんなふうに感じているなら、一度振り返ってみてください。
これまで経験してきたこと。
悩んだこと。
失敗したこと。
誰かに支えられたこと。
その一つひとつが、 今のあなたの判断力や人を支える力になっています。
経験は、目には見えません。
だからこそ、自分では気づきにくいのかもしれませんが、 積み重ねたものは決してなくなりません。
それは少しずつ結晶となり、誰にも真似のできない、 あなただけの力になっているはずです。










